■ バチェラーでの印象：“選ばれる側”に自覚的な美容女子

彼女のプロフィールには、余裕と自信がにじみ出ていた。

・美容クリニック広報
・肌質がプロレベルで仕上がっている写真
・ブランド物は控えめだが“分かる人には分かる”使い方
・文章が短く、男を静かにジャッジしている空気
・「忙しいので、会う価値がある方としか会いません」

この最後の一文で撃ち抜かれる男は多いだろう。
だが、妙に誠実だった。“自分の価値”を正しく理解している女性特有の強さがあった。

そして自称Sランク。
こういう自己認定をする女性は、強気の奥に繊細さを必ず隠している。

■ 当日の第一印象：美容のプロが本気で仕上げた“春の艶”

待ち合わせに現れた彼女は、照明に反応する肌が本当に綺麗だった。
ベージュの春コート、丁寧に巻かれた髪、ほのかに香る柔らかいフレグランス。

写真では分からない“仕上がりの精度”が、近づくほど伝わってくる。

「はじめまして。…写真より落ち着いてますね？」

この“試すような褒め方”が港区的だった。
ただ、彼女の目だけはしっかり笑っていた。

■ 食事：色気と観察眼が交互に出る美容女子の会話

高層階のレストランに入り、窓の外には春の夜景が広がる。
席に着いた瞬間、彼女はふわっと髪を耳にかけて笑った。

「ここ、雰囲気いいですね。ちゃんと選んでくれた感じがします」

褒めつつ、こちらのセンスを値踏みするような温度もある。
美容クリニック広報らしい“観察の癖”だ。

食事中の会話も独特だった。

「肌って、恋愛してると綺麗になるんですよ。ストレスが減るから。」
「男性って忙しい時ほど顔に出てますよね？すぐ分かります。」
「港区の夜って怖いけど…レベル落ちるの嫌なので敢えて居ます。」

ワインを飲むたびに視線がゆっくり動く。
その“魅せる動作”がすべて自然なのに色気があった。

「バチェラーって“選ぶゲーム”じゃないですか。
でもそろそろ…選ばれたいのかもって思う時あるんですよね。」

強気女子の奥の、静かで甘い本音。
春という季節が、その温度をより柔らかくしていた。

■ 二軒目：春風と照明が混ざるバーで、距離が一気に縮む

外に出ると、夜風はまだ少し冷たい。
彼女は肩をすくめながら、

「春の夜って、なんか人恋しくなりません？」

一気に色気が増す一言だった。

ラウンジバーに入り、ソファに座ると、彼女はコートを膝にかけて少し姿勢を崩した。
その瞬間だけで、場の雰囲気が変わった。

「私、強いって思われるんですけどね…
ほんとはちゃんと大事にされたいんですよ」

彼女は、強気の奥の弱さをそっと見せてきた。
美容女子らしい“計算された自然体”ではなく、本物の自然体だった。

■ 帰り際：プライドは守ったまま、心はしっかり寄っていた

タクシーを止めると、彼女はすこしだけこちらを見上げて言った。

「今日は余裕ある感じ、嫌いじゃなかったです。
次も…ちゃんと大事にしてくれるなら、会ってもいいです。」

その目元が、ほんの少しだけ甘かった。